ブラックスワンとの向き合い方

ブラックスワンは、「想定外の出来事」や「ありえない現象」という意味を持つ。これまでの知識や経験からは考えられない事象が生じて非常に大きな衝撃や影響をもたらす。事前に予知することは困難。ファットテール、テールリスクとも呼ばれる。

まず結論から。著者タレブは、ブラックスワンの非対称性を最大限利用することを勧めている。その具体的方法がバーベル戦略である。85~90%を安全資産(アメリカ人なら米国債券)においておき、残りの10~15%で大きなリターンを狙えるリスク資産に配分する事を推奨している。

これは、ハワードマークスのオッズが有利になる賭けの図(ベルカーブの中心線を左右にずらした図)や、パブライのダンドー(低いリスクと高い不確実性)、ジムクレイマーの80%は健全なバリュー株で20%で投機を勧めた話、個人投資家の某哲也さんのレバリュー投資なんかとも共通する考え方だ。

上記の中ではタレブの戦略が最も保守的であり、作中でも彼は市場に勝ったのは98年、年、08年の3回だけだと述べている。

日本人の我々には為替リスクが付きまとうので、現実的にはキャッシュか他の資産を持つことになるだろう。(タレブよりはリスクを負うことになるが、80%を現金性のシケモク株中心のバリュー株、10%をレバナスやビットコイン等々も面白いかもしれない…)

ただし、債券と違いバリュー株は暴落時に吹き飛ぶ点は注意。シケモク株はボラが大きくなりやすい。株とは違う動きをする債権やゴールド、またインフレによる目減りを承知でCPもあった方が保険になるだろう。タレブも掛け捨てのオプションを平時から使用している。いつくるかわからないブラックスワンを最大限利用する為に。

この考えを踏襲するなら、オプションは難易度が高いにしても一定のCPを常に持っておくことはできる。ブラックスワン(つまり突発的な暴落)が起きれば優良株を安く買うチャンスが生まれる訳だ。常にフルポジで持っている連中はこのタイミングで買うことができない。世界恐慌で破産した経験のあるグレアムも株は75%まで、最低25%は債権(安全資産)を持つべきと説いている。いつ、次のブラックスワン(世界恐慌、オイルショック、湾岸戦争、アジア通貨危機、ドットコムバブル崩壊、同時多発テロ、リーマンショック、東日本大震災、チャイナショック、コロナショック…)が起きるかは誰にも予想できない。

次にパブライのダンドー戦略

低リスクと高い不確実性のコンビ。 たまに賭ける、厳選した少数に賭ける、大きく賭ける。賭けたい銘柄が見つからなければ、みつかるまで現金で待つ。目安は2~3年で2倍以上を狙える銘柄。この考え方も(正の)ブラックスワンを最大限利用している。低いリスクと高い不確実性なんてまさにそうだ!タレブと比べてよりアグレッシブな戦略である。

個人的にはCPとゴールドを一定割合持ちながらパブライの積極的な戦略を採用したい。

上振れ、正のブラックスワンに対しては上記で対応するとして、下振れ、負のブラックスワンに対してはどのように準備をしたらよいだろうか?

やはり一定のCPは必要だろう。仮に73~74年や00~02年のような暴落が起きれば2~3年は下げ相場が続く。その時に株式100%であるのとCPが50%あるのとでは、精神的な安心感の違いによる突発的な行動(つまり自暴自棄による投げ売り)を防ぐのに加えて、安くなった優良株を買い増すチャンスが生まれてくる。

株式100%時の暴落→負のブラックスワン

CP100%時の暴落→正のブラックスワン

私もブラックスワンを利用できるように準備をしたい。PFの配分の答えは現状でていないが、いくつかのヒントはある。

・最低25%は安全資産で(グレアム)

・最低25%は株式で(グレアム)

・10~20%で投機(タレブ、クレイマー)

・偶に賭ける、厳選して賭ける、大きく賭ける(つまり暴落時)=そうでないときは現金で待つ(パブライ)

思っている以上にCPは大きく持っていて良いのかもしれない。2年で2倍が狙える銘柄が見つからなければ、例えば60~70%のCP(=つまり最低30%は株を持つ)

このあたりの配分は要検討。そして、昨年のSANKYOや今年4月のエスケイジャパンのような銘柄がみつかったときは、もっと思い切って大きく突っ込んだポジをとった方が良いのかもしれない。(例えばPFの25%くらい)

・最低25~30%は株式

・10%は上振れ期待のリスク資産(レバナスやビットコイン?)

・最低25~%(みつからなければ60~%くらい?)のCP

・ゴールド、債券

PF配分は保守的に要検討

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